こんにちは。
駐在英語.comの秀村です。
今日は海外とのビジネスを進めていく上で知っておくべき人間関係に関してある記事を紹介したいと思います。
現地人とのかかわり方
書いた人はMr. Koichiro Honda。実感とともに、かなり濃い内容が書いてあります。
なんで駐在員は大変なのか (英語編 – by Mr. Koichiro Honda)
ここで書いてあるのが分かる通り苦労するのは結局は人間関係と英語。
彼は文中で「アメリカ人はナイスガイなのではなく、ナイスガイでなければいけないのだ」というのはまさにその通りという感じです。西欧社会においては「人間関係というのは非常にセンシティブなものである」という前提が非常に強いということです。
なぜなら、彼らは個々人の主義主張、さらにはイデオロギーや宗教まで「基本的に違う」上で、それでも分かりあおうとすることで成り立つ社会の中で生活しているからです。
ここの部分が完全にすっこ抜けると、信頼関係を構築するまでにかなり苦労することになるので要注意です。
「リスペクト」を武器とせよ
「エッジをとがらせろ」「負けない専門性を身に着けろ」「強みを持て」海外でビジネスをする上でよく言われているフレーズです。そして、これらは間違いなく役に立ちます。しかし、これに勝るフレーズがあると私は体感してきました。それは、「リスペクト」を武器とせよ。というものです。
私が赴任したての頃、木曜日の5時ごろ、現地スタッフのある楽器担当者にあるレポートを頼んだことがあります。私の感覚では1時間程で終わるものです。
私「ねぇF君、これやってくんない?」
F君「いいっすよ~。いつまでですか?」
私「それが、本社が欲しがってるのが月曜日の昼のミーティングなんだ。」
F君「え?月曜までってことですか??」
私「一時間程で終わると思うよ。難しい?(Would that be difficult?)」
F君「It’s too short notice.(いや、急すぎますよ。)」
相手は明らかに驚いていました。
私はもやもやを抱えていましたが、数週間後、彼とランチをしながら「なぜ1時間の資料作りができなかったのか」を聞いてみました。すると、彼はスケジュール帳を見せてくれたのです。
F君のスケジュール
曜日 | 時間 | 予定 |
木曜日 | 17:00 | 退社 |
金曜日 | 8:00 | ディーラーを4件まわる |
12:00 | お昼 | |
13:00 | 依頼されている仕事(1.5h)する | |
14:30 | 来週のスケジュールチェック、先方と確認(数件) | |
16:00 | 仕事終了、1時間のバッファを使って来月の方針を考える | |
17:00 | 退社 |
「なるほど・・・!オレは彼のスケジューリングをリスペクトしていなかったんだ!」
と気づかされました。
そして、私は指示出しの仕方を考えさせられたのです。そう、彼には彼のスケジュールがある。そして、プライベートの時間は絶対に大切にしたい人だから、17時彼が退社する時間はリスペクトしなくてはいけない。
ちなみに、ここで多くの日本人駐在員は日本人同士で集まって「オーストラリア人はほんっと働かねーからな~」「あー分かるわ」なんて言っちゃいます。違うんです。彼らには彼らの考えがあり、責任と誇りを持って仕事に取り組んでいます(全員じゃないけど)。しっかりと彼らと対話すれば、そういうことが見えてきます。こういう信頼関係を構築するためにも英語力は必要なのかもしれないですね。
そして数週間後、この方針が大事だということを確信する出来事があったのです。
金曜日のことでした。
私「ねぇF君、この前依頼していたやつ(結構大きな資料で3時間くらいかかる)、今日の4時まででお願いしてたけど、できてる??」
F君「やっべー!!しまった、やってなかったです!これ、いつまでに必要ですか??」
私「そうだな、、、本社の火曜日AMの会議で使うから、できれば月曜日の夜までにもらえれば、オレ目通して訳すけど・・・」
F君「いえいえ!えーっと今日家族の予定が入ってるんですけど、必ず明日土曜日の10時までには終わらせて送ります!」
私「マジ!それは助かる!え、っていうかプライベートの時間大丈夫なの??」
F君「大丈夫です!僕のスケジューリングのミスですから!」
そう、彼は自分が引き受けた期限は「責任」としてしっかりと受け取り、その裁量の中でスケジュールを組んでいたのです。そして彼は、私のスケジュールをリスペクトしてくれたのです。
当たり前と言えば当たり前の話なのですが、日本企業で、金曜の夜上司から「これやっといてねー」と言われ、月曜日朝に「頼んでおいたやつ、どーなった?」という文化にどっぷりと浸かっていた私には軽いカルチャーショックでした。
日本でもこんな「常識」は通用させようとしないで!
というわけで、もしあなたがある程度権限の持った会社員だったら、この類の「常識」は通用させようとしないでください。(部下は上司の言うことを聞くべき、1時間程度の仕事ならすぐに請け負うべき、土日もちょこっとなら働いてよ、みんな忙しいんだから、Etc.)
むしろ、日本企業の方が、こういうことにシビアになる時代だと私は思っています。チームの生産性の効率を上げようと思ったら、個々人が何に価値を置いているか、大前提のところをしっかりとケアした上で、「個人事業主に依頼する」といった心づもりの方が、社会的にみんなハッピーになれるような気がします。
これは「プライベートを大切にする」という大前提をシェアした場合ですが、これが宗教、政治、イデオロギーやらがバラバラの人たちと関わって行くことになります。また別の機会にこれらの例をシェアしたいと思います。
駐在員の働き方
話がずいぶんそれてしまっていますが、先ほど紹介した記事では「とにかく防御力を高めよ!」と書いてありますが、これに関しては本当に賛同しています・・・が、ここを取り違えてしまっている人が時々いるので要注意!
私が知っている駐在員の一人は、本社からのデータを自分自身にしまい込んで、必要とされた時にそれを渡す・・・ということをやっていました。ちなみに機密性はあまり高くないものです。
彼曰く、
そうしないと頼られなくなるからね!(どや
レベルの低い話で恐縮ですが、こんな感じでは現地スタッフとしてはあまり尊敬できる駐在員ではありません。(でも本当に結構いるんです、この手の人)
こんなものはさっさと共有フォルダを作って、本社からのデータは自分が全て目を通した上で本社と確認を取って、コメントを付記したものをどんどん上げていけば良いのです。
現地スタッフも、これで余計なストレスは無用。そして、そのことに関しては駐在員とのやりとりも無用・・・になりますが、それにより一段高いレベルでの仕事が可能となります。
自分の仕事はどんどん潰していき、最終的には現地スタッフだけで回るような方向性で仕事をする。これが駐在員の一つの使命でもあると私は思っています。
そして、ポストが要らなくなった時は、自分はさらにレベルの高い仕事をすれば良いのです。
英語力と信頼度合に関して
さて、筆者は英語力に関してかなり血みどろの努力をされているようですが、アメリカの場合は確かにそうかもしれません。「英語をしゃべらぬ者人にあらず」を感じたのは、英語力があまりないままアメリカでビジネスをしようとして感じた人も少なくないと思います。
ただし、英語力がなければどうしようもないか?と言えば、そうでもありません。英語力に応じたコミュニケーションセンスを尖らしておけば、信頼構築は可能です。
次回はそのことに関してお話したいと思います。