今回は、駐在員としてオーストラリアに赴任し、出席していた会議を振り返ってみます。
社長に怒られた!
月1回開かれる「責任者報告会議」
責任者報告会議とは
・現地法人社長(日本人)・現地法人の部課長(オーストラリア人)・各部の駐在員(日本人)
らで構成され、約20名程度の参加人数で月1回定期的に開催されていました。
内容としては、各部から社長への業務現状報告と、社長からのフィードバックが主です。
駐在員も例に漏れず、この会議で受け持ちを社長へ報告します。
各部署から業務サマリーや方針について様々な情報が出てきますので、この会議で交わされている内容はきわめて重要です。
社長に怒られた!
赴任から3か月目、すなわち3回目の責任者会議を迎えていたところ、
私は社長から
「駐在員なのに示しがつかん(怒!)」
と派手に怒られました。
これはどういう事なのかと申しますと・・・。
私の部署には、私を含め駐在員が2人おりまして。
会議での駐在員説明の際、本来私が責任を負っている所を、私が詳細に説明しなければいけません。
しかし、赴任以来2ヶ月間、優しい先輩がいつも私の分も説明してくれていたのです。
ちなみにその時の私はというと、メモをいそいそと取っているだけという有様でした。
つまり、先輩に甘えていたわけですね。
そこを社長に喝破されたというワケです。
甘えていた理由
まず、その時の私の率直な心境は
「とりあえず会議、ワケがわからんぞ(いやでもなんとなく分かる気もする)」
でした。
The言い訳ですが、その理由を列挙します。
・言っている英語が聞き取れないわけではない、しかし話の内容がさっぱりわからなかった。
・会議では色々な情報が飛び交っていたが、その情報を理解するにあたって必要な前提知識を持っていなかった。→積極的に会議へ参加しづらかった。
・会議内でわからなかった情報は、そのままに放っておいてしまっていた。
・・・といった感じです。
その当時は、これらが渾然一体となり、何がどういう風にわからないか、原因の切り分けさえも出来ない状態でした。
そう、それで「とりあえず会議、ワケがわからんぞ」状態に陥っていたわけです。
ターニングポイント
社長に怒られた。
この出来事により、「自分は分かっていない」と認識するようになり、「この状況を本気で改善しなければ」と深く心に刻むことになります。
改善にむけた行動
わたしは問題解決について、以下の流れでアプローチすることにしました。
1.分からない | → | 2.情報を入手 | → | 3.情報を整理/理解 | → |
4.解決策を考える | → | 5.計画を立てる | → | 6.目標を立てる | → |
7.行動する | → | 8.目標との差異を図る | → | 9.成功・失敗の原因を究明する |
マネジメント手法として、PDCAサイクルやOODAループといったメソッドがメジャーですが、そういったものの変形かもしれません。
このフローにのっとって、私がとった解決策を説明します。
分からない | 分からないから先輩任せ。それに加え、そもそも何がわからないかが、わからなかった |
・ビジネスコンセプト? | |
・英語がわからない?(オーストラリア訛り?語彙?文法?慣用句?) | |
・社内用語がわからない? | |
↓ | |
情報を入手 | ・責任者会議の様子を録音することにした |
↓ | |
情報を整理/理解 | 録音を聴いてみたところ |
・どうやら、皆が持っている前提知識を、自分は持っていない | |
・他部署からの報告内容がよく理解できない | |
・頻出のビジネス表現を知らなかったことが判明 | |
↓ | |
解決策を考える | ・必要な前提知識を準備しておく |
・理解できなかった事は、事前事後に関わらず調べておく | |
・わからないビジネス英語表現は、ネイティブの友人に質問してみる | |
↓ | |
計画・目標を立てる | ・知識を準備し、責任者会議では、主体的に駐在員としての行動をとる |
↓ | ・わかっている所と、わかっていない所を明白にきりわける |
・わからないビジネス英語表現は準備万端にしておく | |
↓ | |
行動する | ・会議内で先輩任せにせず、主体的に行動 |
・会議内でわからなかったことは、会議終了後すぐに質問 | |
・ビジネス表現をスムーズに認識・発話 | |
↓ | |
目標との差異を図る | ・会議内でリードできたか? |
・自分の知識の過不足を切り分けできたか? | |
・準備したビジネス表現対策は有効だったか? | |
↓ | |
成功・失敗の原因を究明する | ・会議の録音を聞き、付随する行動とともに次回へフィードバック |
中でも特に、やっておけばよかったと思うこと
わからない事はすぐクリアにするよう努力
当然の事だと叱られてしまいますが、この姿勢は意識して持っているべきでした。
日本語での会議では、もし多少わからない事柄があっても、全体の流れや雰囲気で内容を補完し、会議の流れ自体を見失う事は少ないと思います。
ですが、英語Onlyの会議ではそういったハードルが確実に高くなるので注意です。
また、「自分に関係ない他部署の事は聞き流していいや。」もオススメできません。
将来的にその他部署へ異動する可能性は多いにあります。
聞かずに放っておけば、今更感のある質問を将来連発することになります。
ビジネス英語は準備しておく
ビジネス英語といったらTOEICを思い浮かべると思いますが、リアルビジネス英語はまた毛色が違っていました。
私は、辞令が出た当時はTOEICは900点以上でしたし、学生英語のようなカジュアルな英語も普段からよく使っていました。
ですが、痛みを伴うシチュエーションで準備不足をリアルに体験したわけです。
そこで私がとった対策は、「会議を録音→ネイティブに聞く→自分でも再現できるようにする」というものでした。
(しかし、今振り返ってみると、これらは三か月もあれば準備できてしまいます。ショートカットする方法についてはサービスがありますので、気軽にご相談ください。)
例えばですが、ビジネスにおける頻出表現にはこのようなものがあります。
・結論からいうと「 from the bottom line」
・とは言うものの 「having said that(短縮して said that もアリ)」
・~という前提で「 provided~」
・悩みの種 「pain in the neck」
この例だけ見てると「ふんふんなるほど」という感じなのですが、これが文中で
From the bottom line – we may have to use the warehouse, provided we’d sell these products in the same speed as last year.
結論から言うと、前年と同じ速さでこの商品が売れるとするならば、倉庫を使わないといけないかもしれませんね。
みたいなことをさらさら~っと言われると、warehouse, provided の聞き取れた部分にフォーカスしてしまい、
ウェアハウスが、提供したのかな~スピードを?だからこの倉庫を是非使いましょうってことかな?
・・・みたいな、曖昧というかトンチンカンな理解をしているにもかかわらず、何の話をしているか分かる気になって、分からないということに気づかない・・・というような感じでした。
録音を聞いて、ちゃんと理解して初めて、自分がいかに理解していなかったか・・・を知ることとなりました。
いかがでしたでしょうか。
特に、「何が分かっていないのか、それさえ分かっていない」はなかなかの厄介な状態。
いつもクリアな思考を保っていたいものです。
ではまた!