日本の将来。自分の市場価値

これからの日本

私は学者ではない一般人です。ですので、ロジックと手に入る数値から見える部分を組み合わせて、私が考えるところをブログ記事にしてみました。

 

他の様々な要素もありますが、今回、人口変動という要素に焦点を当てた考察をします。

マクロな観点から国を捉えるにあたって、古今東西にわたり、その「国力」を測るために、実に様々な考え方や指標・計算式が考案されてきた歴史があるようです。

その中で、「人口」というパラメータはいずれのメソッドにおいても重要な位置を占めています

 

数値の使用にあたっては、国連系機関・政府系機関・大手シンクタンク等、ある程度信頼できると思われるリソースからURL付きの出典を明記し、そのうえで考えをまとめました。

様々な考え方や論点があると思いますので、みなさんの考え方やご意見も是非お待ちしております。

 

人口減少が凄まじいスピードで進みます


人口減少が騒がれて久しいですが、「実際どういったものか?」と、政府系機関の資料を使って調べてみることにしました。

なんと、移民受け入れをしなかった場合、2060年には8,674万人(現在の約3分の2)にまで減少するようです。高齢化率も24.1%→39.9%まで進行する予測が立っているようです。

 

注目すべきは紫の破線です。

 

内閣府「選択する未来」委員会 目指すべき日本の未来の姿について(内閣府事務局資料)(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/0224/shiryou_01.pdf)
より転載(強調のため、「☆」・「△」・中央の「□」印(計4箇所)はこちらで加筆しました)

ちなみに、出生率回復(※合計特殊出生率2.07)のシナリオは、上記グラフ、太字の黄色・赤色のグラフ線ですが、これは現実的ではないように思えます。

(※合計特殊出生率=その年における各年齢(15~49歳)の女性の出生率を合計したもの)

 

実際に、日本の合計特殊出生率がどの様に推移してきたか、以下をご覧ください。

内閣府 「少子化対策白書」 掲載の厚生労働省資料より転載(http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2017/29webgaiyoh/html/gb1_s1-1.html )

冒頭の出生率回復シナリオは

「2030年に合計特殊出生率2.07まで上昇し、それ以降同水準が維持される」

との仮定を置いたものでしたが、

この2.07という数値はどの程度の水準でしょう。先に掲載しました出生率グラフを簡略化したものを以下に示します。↓↓↓

 

出生率回復シナリオに前提とされた「合計特殊出生率2.07」という数字は、直近のピークであった1971~1974年の第2次ベビーブームに相当する値です。

 

ピーク以降、合計特殊出生率は下がりトレンドで推移し、今世紀に入ってからは1.4程度のようです。ちなみに、最新のデータは2016年は「1.44です。

合計特殊出生率が1975年以降、現在に至るまで「2.00」のラインを上回ったことはありません。
2030年までに出生率が2.07まで上昇し、以降その水準が維持されるシナリオは厳しいかも
しれません。

 

自分のことさえままならないこの時代、出生率を上げるという具体的なシナリオは、なかなかイメージし難いものがあります。

 

というわけで、移民なし・出生率改善なしのケースを、生産人口と非生産人口の割合を含めて表したグラフがこちら。「このままいくとどうなるか」をピックアップした図です↓↓↓

国立社会保障・人口問題研究所 「平成24年1月推計の解説および参考推計(条件付推計) 」
(D) 出生中位~人口置換水準到達(死亡中位)推計:平成22(2010)年~平成122(2110)年
「(http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sh24sanko.html)D-1資料よりグラフ作成

 

他シナリオを除外して、単体で見てみると……なかなか際立ちますね
移民を導入せず、出生率も横ばいとすれば、少子高齢化の負のスパイラルも着実に進んで行くようです。

 

人口が減るとどうなるか?


他の条件を一定とするならば、一般的には人口減少・高齢化が進むと、経済規模が縮小し、すなわち

優秀な人材の絶対的不足・公共サービスの低下・社会保障コストの増大・財政赤字問題の深刻化等々を引き起こすだけでなく、私たちの所得水準も下がります。

 

また、人口減少から引き起こされる将来不安は、さらなる少子化をもたらすといった悪循環を招くようです。

参考資料 厚生労働省 平成27年版 厚生労働白書
序章 人口減少の見通しとその影響 第2節 人口減少がもたらす影響と長期ビジョンが目指す将来の方向(P.13~)
(http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/dl/1-00.pdf)

 

しかしながら、他の条件を一定とせず、例えば「1人あたりGDP」が増大すればその影響は軽減されるはずです。

 

昨今、働き方改革・生産性向上(=1人あたりGDPの増加)について国会で盛んに叫ばれているのも頷けます。
このトピックは政府にとって、国家の存亡をかけた喫緊の課題といっても過言ではないと思います。

 

人口減をきっかけとして、日本の未来には大きな変化が訪れることが予想されます。私たちはその渦中に居ます。

 

各国の経済成長予測


日本の行き先は、予測とはいえ、雰囲気はつかめました。では、海外各国の状況はどうでしょう。

経済の切り口から考察していきたいと思います。

 

各国の経済規模だけでなく、具体的な生活水準をイメージするため人あたりGDPを算出してみました。

 

比較的新しい予測資料であるPwC作成「The World in 2050」からPPPベースGDPを、国連作成「世界人口予測」の人口推移を参照することで1人当たりGDP(PPPベース)を算出した表を以下に示します。

PwC  「The Long View.How will the global economic order change by 2050?」
(https://www.pwc.com/gx/en/world-2050/assets/pwc-the-world-in-2050-full-report-feb-2017.pdf)
P.23のデータより抜粋

 

国際連合「世界人口予測」
(https://esa.un.org/unpd/wpp/Download/Standard/Population/)
Total Population – Both Sexes  – Medium variantのデータより抜粋

※国連の人口推計(108,794万人)は、国立社会保障・人口問題研究所の数値(9,708万人)と若干差がありますが、国連・低位シナリオ(9,912万人)の場合ほぼ一致しています。上記表は国連・中位シナリオで統一しました。
※PwCによるGDP(based on PPP)データは、2016年の数値についてはIMFとりまとめデータと若干の差(一例として:「WEO database 2017 Oct版」 日本:5,233)があります。

 

数値を追っていくと、日本の将来人口に関して、PwC,国連ともに、人口減に日本政府が何かしらの対策(移民・生産性・出生率回復に向けた取り組み等)を取ることを既に織り込んでいる可能性がありますね。

また、経済規模のみならず、1人当たりGDP(PPPベース)については、何より新興国の伸びが凄まじいです。この1人当たりGDP、新興国において2倍以上の伸びを見せ、インドにあたっては、なんと6倍の見込みです。

日本の1人当たりGDPも堅調な伸びを見せていますが、経済規模という面から見ると、4位から8位へと順位を下げ、7位のメキシコとほぼ等しくなるようです。大きなパイを求め、日本は現在よりも一層、海外へ活路を見出していくのではないでしょうか。

 

他にも様々なシンクタンクが予測資料を公表していますが、

世界の経済力が先進国から新興国へシフトしていくという点では、おおむね共通していると思います。

 

人口減に対して取られる可能性があるシナリオ


シナリオとしては、

・国をあげたAI・IoTといったイノベーションの積極的推進による生産性向上の取り組み。

・政府においては、移民政策を積極的に打ち出していく。

・民間企業においては、内需の減少を見据え、今以上に海外に活路を求める。

 

といった可能性が高いと思います。

参考資料 内閣府 平成15年度年次経済財政報告
第2節 高齢化・人口減少の下での経済成長の展望
(http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je03/03-00302.html)

現在よりも、何らかの形で海外とつながざるをえない機会が増えるでしょう。

となると

「英語ができない人」は、市場価値が現在よりも下がっていく可能性があります。

 

実は、もうすでに日本は少しずつ移民国家として歩み始めている向きがあるようです。
以下に、その実態を表す参考グラフを、みずほ総研の資料から作成しました。

みずほ総研 リサーチTODAY 「東京の外国人比率約4%、日本は既に移民国家」
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/today/rt170721.pdf
P.2の資料よりグラフ作成

 

だから、あなたの市場価値を意識する必要がある

 

実はすでに目の前にある英語格差


インターネット上に適例がございましたのでで、以下に紹介いたします。

日本人エンジニアの給料が上がらない理由

中国ハイテク企業のエンジニアで年俸1000万円以下はいない

2017年の採用市場では、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が日本で大卒エンジニアを「初任給40万円」で募集して話題を集めた。

 

厚生労働省の調査によれば日本の大卒初任給の平均は約20万円(17年)。~中略~

 

ファーウェイ本社のエンジニアの初任給がいくらかといえば、日本円で月額約83万円。
日本で募集した初任給の倍である。~中略~

 

エンジニアの給料が高いのはファーウェイに限らない。中国のハイテク企業のエンジニア
で年俸1000万円を下回る人はまずいないだろう。~中略~」(P.1より)

 

インドの優秀なエンジニアの初任給は年収1500万円~後略~」(P.2より)

 

「~前略~
日本人の多くは語学が圧倒的に苦手だ。
どれだけ技術に長けていても語学ができないエンジニアは使われる側に回るしかない。

 

英語で顧客と交渉してスペックを決めたり、英語で仲間を集めて指示したり、プロジェクトマネジメントができるエンジニアは使う側に回れるから稼げる。 だからインド人のエンジニアは強い。

 

日本人の場合、英語ができるといってもマネジメントできるレベルではない

 

フィリピン人のほうがよほど英語は達者だから、そのうち彼らの下で働くしかなくなる。~後略~」(P.3より)

President Online 「日本人エンジニアの給料が上がらない理由」
(http://president.jp/articles/-/24409)
から部分引用(※強調のための文字飾り(BOLD)はこちらで追加いたしました。)

なかなかインパクトが強い記事ですね……

本記事では部分引用をさせていただきましたが、是非、リンク元の記事全文をご覧になられることをお勧めいたします。

 

日本のエンジニア市場では、コンベンショナルな雇用慣習や、経営側の投資判断がグローバル市場と隔たりがあるのかもしれません。

では、世界市場で自分を売ればいいのでは?という話かもしれませんが、ここに言語障壁があり、
英語ができないばかりに、世界標準のエンジニア市場に打ってでることができないという事情があるようですね。

これは、ITというグローバルと親和性が高い領域の話でしたが、
今後、イノベーションの進展・移民・グローバライゼーションの進展により、

このような場面は、より顕著になっていくのではないでしょうか。


英語ができるアドバンテージ・英語ができないリスク


「いや、そんなに高い給料必要ないし……」

という向きの方もいるかもしれません。しかし、今後にわたり今の水準の給与を手に入れることができるとは限らないのです。

社会構造の変化により、英語ができないリスクが今より顕在化した結果、あなたの市場価値は下がり、今と同水準の給与は難しくなるでしょう。

 

しかし、これはチャンスでもあるといえます。
英語ができれば、先のファーウェイの例のごとく、伸びしろの可能性が多く残されているということになるからです。

英語を【今、もしくは今からでも】準備しておく価値は、かつてなく高いと思います。

 

あとがき

昨今、人口減少をイノベーションでカバーししていく。という議論が盛んになされているようですね。そこで、

人口減少が私たちに与えるインパクトについては、漠然としてネガティブなイメージを持っているけど、具体的数字はどのようなものか……?ちょっと前に議論を呼んでいた移民政策はどうなったのか……?日本人にとっての英語のこれからは……?

 

などと思い起こし、既に議論が尽くされ、手垢にまみれたテーマかもしれませんが、今一度自分なりに把握したいと思い今回の記事にいたりました。

 

特に脅すつもりで書いた記事ではないのですが、やはり、日本の未来にとっては長期的にみた日本の人口動態は、良くも悪くも1つ大きな「鍵」となっているようです。

 

良い「鍵」といえば、皆様ご存知、この人口減少の流れをチャンスととらえ、「AI・IoT・ ロボットの活用・働き方改革」といった様々なイノベーションを進める好機だと捉え、積極的に生産性を向上させていこうという潮流ですよね。

 

これらを複合的に組み合わせて、生産性を飛躍的に向上させる試みはどれほどの成果が見込めるのか、気になるところです。

 

アクセンチュアによりますと、AIを活用した場合は、活用しなかった場合と比べて、2035年における労働生産性は34%向上しているという試算があります。

 

確かに、日本の生産人口は減少の一途をたどりますが、上記イノベーションによって1人あたりのGDPをその分向上させれば数字の上では、(経済上は)問題はありません。

 

ひょっとするといつの日か、AIの力で、対人コミュニケーションをリアルタイムで、刻々と変化する状況に対応し、ニュアンスまで精緻にカバーする翻訳マシンができる日も来るのかもしれません。

 

ただ、英語をモノにしておくという選択肢は、イノベーションの実現可否を注視しつつも、私たちが明日からすぐに、自分自身の市場価値に取り組めるアクションだと思います。

 

本記事では後半に「英語」という切り口を強調しましたが、それはまた別として、自身が所属する会社が、イノベーションの波に淘汰されるか、もしくは波の乗って伸びていけるのか、その資質を今一度見渡してみるのはいかがでしょう。

 

 

こんな時代を迎えようとしている今だからこそ、改めて将来に思いを巡らせる良いタイミングだと受け取って、日々励んでいきたいと思います!

逆境をチャンスに変えようとへっぴり腰でもがく秀村君(左)の図。2007, Chile

 

 

今日は以上です。

ではまた!


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