日本では、オフィシャル・アンオフィシャルに関わらず、なにかと飲み会で皆の親睦を深める機会があります。
では、オーストラリアでのコミュニケーション事情は、どういったものでしょうか。
それぞれ比較していきたいと思います。
まず、日本、オーストラリアと順番に話を進めていきましょう。
私が日本で行っていたコミュニケーション
別段変わったこともないかと思いますが、オーストラリアの駐在時と比較するため、私が日本で取っていた食事に絡むコミュニケーション方法を紹介させていただきます。
日本の昼のランチ会
昼のコミュニケーションといえば、そう、ランチ!
一人で公園のベンチでコンビニおにぎりを黙々と食べる。ハトに餌をあげる。
・・・という日もありましたが(餌はあげてないけど)、日本では日常的に同僚と連れ添ってランチに行っていました。
そこでは、趣味・週末の過ごし方・家族といった会話や、ちょっとした仕事の話など、特に目的意識もなく、とりとめのない雑談を交わしていました。
これは皆さんの感覚とも共通かもしれません。
夜の日本のノミュニケーション
歓送迎会や、日々のちょっとした区切りでの、職場の皆で飲み会などなどありますよね。
上司については、職場での表情と違った人間味のある顔を見られたり、普段気難しいB君もぐでんぐでんに酔っぱらってなにやら盛り上がったり、物静かなC君は、二次会で上司のいない場で給料に対する不満だとかをぶちまけたりだとか・・・。
そんな人間らしい一面を見て、「あぁーみんな頑張ってるんだな」となんとなく安心感とエネルギーを得て、明日の活力にしている、という方々もいらっしゃることと思います。
また、職場の皆というわけではなく、個人的に飲みに誘うときもありました。
親睦を深めるという目的もありましたが、踏み込んだ話がしたいときや、本音が知りたいときにそのようなことをしていたように思います。
飲みの場では、誰もがふだんの職場では見せない表情を見せる。建て前の裏の、本音が少し見え隠れする。それがお酒の妙味な気がします。
オーストラリアに着いたら・・・
オーストラリアの昼のオフィスランチ事情
・基本的にランチを誰かと一緒に食べる文化はありませんでした。(※社風によりますが、基本的にあまりありません)
お昼になると、皆がそれぞれどこかに出かけていったり、オフィスのデスクの上で、ちょっとした食べ物を口にしているようです。
連れだってランチを買いに行く姿は良く見かけますが、その先でちゃんと席について一緒に食べる、というのは、あっても月に2、3回程度というイメージです。
ひょっとして、それこそ一人で公園でコンビニおにぎりを黙々と食べて、ハトに餌をあげている人も居たかもしれません。
・N氏をランチに誘ってみました。
N氏は、私の本社時代から時たま関わりがあり、赴任したばかりの現地でも比較的親しい方でした。
彼となら他愛の無い会話をしながらランチを楽しむことができるんではないか・・・?という思惑でしたが、若干の認識の違いがあらわとなりました。
レストランに行くまでの会話は特に他愛もない会話をしていたのですが、レストランについて、席に着いた時。
N氏「・・・で、今日はどんな話があるんだい?ユージ。」
私「いや、これからオフィスで働く仲間として、Nさんと、ほんと他愛の無い話でもしながら仲良くなりたいなー。と思ってたんだけど。」
N氏「そ、そうか。そういうことか。OK!」
といった反応。つまり、身構えられた感があったのです。
N氏にとって、私は上の立場の人間でした。
彼にとって私に1対1で食事に誘われるという事態は、何か特別な目的があるのではないか?と思われてしまっていたのです。
ランチを二人で一緒に食べて他愛の無い話をする。それは彼にとって非日常のイベントだったのです。
考えてみれば、日本でも、もし仮に上司が突然自分の席にきて「よ、秀村。今から昼飯食わない?」と聞かれると・・・、ちょっと身構えちゃいますよね。
それ以降私は、お昼ご飯を誘うときには「今からAndrew’s Hamurger食べに行くんだけど行く人ー?」と多数に声をかけるようにしました。
参考に、同僚同士の場合はというと。お昼にレストランでちゃんと座って食べるという習慣はあまりなかったようですね。お昼にきちんと座って食べるのはちょっとオフィシャルすぎるという感覚があったようです。
・駐在員同士で開催される定期ランチ
ちなみに、これは本当に現地法人によると思いますが、私が赴任した当時は現地社長(日本人)を含む駐在員同士で集まってランチは日常的に行われていていました。
現地社長の主導で週3回、月水金!定期的にでしたね。しかも毎回同じ和食レストラン。私は新しいものを試したい派なので、なんでオーストラリアでちょっと高めの金払って和食・・・?と思っていましたが、これは社長の計らい。
普段、社長は厳かに社長室にいらっしゃり、距離感があるので、このようなコミュニケーションの機会を設けていたのです。(あとは・・・社長さびしかったんじゃないかなと思いますが・・・)
社長が変わってからは、ランチは週一に減り、行く場所も色々変わりました。彼は努めて壁を作らないように、自ら部屋の外に出て社内を回って話しかけるフレンドリーな社長だったので、ランチの間隔は最適だったように思います。
社長によって方針が変わるのは、どこの現地法人も似たようなものみたいです。
・月間売上目標達成のお祝いランチ
また、Budget Pizzaというイベントもあり、これは売上目標が達成できた週は、Pizzaを出前し(もちろん会社のお金です)、オフィスで皆(駐在員スタッフや、現地スタッフ皆)で、オフィスの中でワイワイと食べるというものでした。
こういったイベントは良いメリハリであり、士気を上げることに繋がっていると思います。
しかし、最初に私がこれに参加して驚いたのは、このような場でも駐在員同士で固まっているということ。週3回、駐在員同士でランチに行っているにもかかわらず、です。
そのパーティの雰囲気をみると、現地スタッフと駐在員には、それなりの距離があるということは、明白に見てとれました。
私は最初、その雰囲気で駐在員同士で固まっていましたが、ある日決断し、積極的に現地スタッフに溶け込むようにしました。
ちなみに、駐在員が現地スタッフとの距離をとること。これにはマネジメント上のメリットがあるからそうしていたようです。
ですが、駐在員が現地スタッフに溶け込むこと。これにもマネジメント上のメリットがもちろんあるのです。
マネジメントスタイルの差とでも言うのでしょうか。こちらについては、後日、別の記事にて紹介したいと思います。
オーストラリアのノミュニケーションとは?
基本的に、仕事終わりにちょっと飲み会に誘う。
といったアンオフィシャルな飲みはほぼありません。
ですが、会社企画のオフィシャルな飲みが定期的に開催されます。
私が勤めていた現地法人では「誕生会(月1回)」という形で、社員全体が集まるパーティーがありました。
これは、その月に誕生日が来る従業員を、オフィス内で業務時間中に2~3時間程の時間をとって、パーティ形式で祝うというものです。もちろんお酒も飲めます。
こんななか、誕生日会の主役であるA氏はぐでんぐでんに酔っぱらっているか?
いいえ、それはありえません。
ぐでんぐでんに酔っぱらってはいけないのです。
自制心が無いとみられるだけですね。。
日本とオーストラリアなぜこうも違うのか?
ちょっとしたアンオフィシャルな飲み会が無い理由
日本での飲み会は、本音や、人間としての素の状態を相互にさらけ出し、互いに安心するといった役割あるようです。
しかし、オーストラリアをはじめアングロサクソン系の文化では、アカウンタビリティ(責任説明)が重視されます(前記事をご参照ください)。
ですので、あちらでは飲み会の場というわけではなく、普段から本音と向き合って、それを主張していく事が当然であり、求められているようです。
(しかしながら、あくまでも「本音と向き合う」ことであって、「いかなる状況でも表と裏が無い」よう振る舞うわけではありません。日本とは違った価値軸が存在します。
しかし、どのようなコンテクストでも確実に言えることは、嫌だと思ったことを自分に抑むハードルが低いということです。)
以上の事情から、日本風の、本音を聞き出したり、踏み込んだ話をしたいといった飲み会それ自体の存在意義が異なるのです。
オフィシャルな飲み会でぐでんぐでんに酔っぱらう事は、自制心が無いとの烙印を押されてしまうリスクが非常に高いので、注意が必要です。。
補足として、本音を主張する一例として、給料の交渉を挙げてみましょう。
オーストラリアだと、新しい役割をアサインすると、給料がどれだけ増えるかという話に普通に話が向かいます。
責任が増えるということは、給料が上がる。それは、まぎれもない正論ですので口に出してマネジメントに主張して当然のことです。もしも無理であれば、合理的な説明がマネジメント側からなされます。
日本で同様の状況になっても、直接給料交渉といった主張することはせず、心の内にとどめておくことが大半なのではないでしょうか。それらの抑制していたものを吐くばしょ・・・、それが飲み会でクダを巻くという現象となって表れているのかもしれません。
まとめ
基本的に、いわゆる「飲みニュケーション」は無い
オフィシャルの飲み会では絶対にぐでんぐでんに酔っぱらわない
普段から本音スマートに伝えることが良いとされている
いかがでしたでしょうか?
飲みひとつとっても、だいぶ違うみたいですね。
仕事でもプライべートでも、節度を守ってどうぞ楽しい飲みライフを!
ではまた!